べったら市は、十月十九日に大伝馬町に立つ市です。
もとは、翌二十日の恵比須講に備えて、恵比須さまの神像や打出の小槌、懸鯛、切山椒などを売るための市でしたが、いつの頃からか、ここで売られるべったら漬が評判になり、すっかり漬物の市のようになってしまいました。
べったら漬けと言うのは、大根を浅く塩漬けしたものを、米麹の床に本漬けにした、甘めの、おいしい漬物です。(*1)
売り子は、「ソレ、べったら、べったら」などと呼ばわりながら、麹の付いたままの大根を、威勢良くぶんぶん振り回したりするものだから、娘さんなどは、うっかり麹を付けられて着物を汚しては大変と、慌てて逃げ回ったりしたものです。
それだのに、「コウ、ちょっと見てっつくんねぇ。安くて旨いョ」と、麹で汚れた手で、容赦なく人の袖をつかんだりするのだから剣呑です。
安い安いと言いながら、他の市の例に洩れず、付いている値段は法外に高いのですが、買い手のほうもそんなことは百も承知でピシピシと応酬し、その掛け合いを楽しんだのです。
べったら漬だから「べったら、べったら」という掛け声で売るのか、「べったら、べったら」と言いながら売るからべったら漬と言われるようになったのか、わたしには判りません。
材料
大根・・・・・中1本(正味800g)
塩・・・・・・30g
昆布・・・・・10cm
赤唐辛子・・・1本
水・・・・・・80cc麹床
米麹・・・100g
砂糖・・・・50g
みりん・・100cc
湯・・・・100cc
- 大根は、厚めに皮をむき、容器に入るくらいの長さに切り揃える。太いものは、さらに縦二つに切る。昆布は水で軽く戻して適当に切り、唐辛子は輪切りに。
- 大根に塩20gをまんべんなくなすって容器に並べ、昆布と赤唐辛子を散らし、水を入れて重しをし、数日置く。
- 水が上がってきたら水を捨て、残りの塩10gを振り、さらに二日置く。
- 大根を出して洗い、時々水を換えながら、一日塩抜きした後、半日陰干しにする。
- 陰干しの間に麹床を作る。米麹をほぐして砂糖、みりん、湯とよく混ぜ合わせ、こたつの隅とかで半日発酵させる。(暖かすぎると発酵しすぎて酸味が出るし、保温を怠ると発酵しないので甘みが出ない)
- 容器に大根と麹床を順に重ね入れ、重しをして冷暗所に置く。一週間程度で漬けあがり☆